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第四十九話 夜明けの代償

last update publish date: 2026-09-14 16:30:26

 夜が明けても、公爵邸に静けさは戻らなかった。

 庭園には救出された人々が横たわり、芝生の上へ白い布と毛布が敷き詰められていた。

 兵士。

 研究者。

 北方の村人。

 黒鴉会に属していた者。

 王宮の使用人。

 敵も味方も関係なく、意識のある者から順に治療を受けている。

 屋敷の使用人たちは湯を沸かし続け、騎士たちは負傷者を運び、ミアは泣きそうな顔をしながら薬品と包帯の間を走り回っていた。

「こちらの方、脈が弱いです!」

「温めてください!」

「黒霧を吸い込んでいます!」

「水を飲ませないで。先に呼吸を整えます!」

 リリアは芝生へ膝をつき、一人の少女の胸へ手を当てていた。

 北方で行方不明になっていた村人の一人だ。

 まだ十歳にも満たない。

 冷え切った手。

 青ざめた唇。

 呼吸は浅い。

 だが、胸の奥には確かに命が残っている。

「聞こえますか?」<

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